あめちゃん



俺としかいない屋上。

気持ちのよい風が吹くお昼休み。



「なぁ、蔵ノ介。」

「なんや?」

「初キスの味ってレモンの味とかいうやん?」

「古いな。」

「うっさいわ。」

「ホンマはどんな味なんやと思う?」


突然アイツは変なことを言い出した。

しかも古い。

・・・。


・・・ふむ。


思い立ったら即行動やな。

俺の記憶が正しければ付き合ってから一回もキスしてないはずや。

俺は立ち上がっての手を掴むとグッと引き寄せてそのままキスをした。



「な・・・な・・・なに、何すんの・・・。」



蚊のなくような声で抗議の声を上げる。

なんやこいつホンマかわええな。


「何味やった?」

「・・・ぶどう。」


耳まで真っ赤にしてうつむくこいつが可愛すぎて。

もう一回だけキスをした。

こんどは俺が食べてたあめちゃん付きで。


「蔵ノ介が食べてたあめちゃんの味やんか。」

「せや?キスの味なんて人それぞれやって。」


ちょっと納得いかへんのかだまっとったけどボソッて言うたのは聞き逃せへんかった。


(まぁ、キスできたしええか。)


・・・キスして欲しいんやったらもっとはよ言うたらええのに。

ほんまアホや。

我慢しとった俺も大概やけど。


「ごちそーさん。」


そう言うてぎゅーっと抱きしめたったらも抱きしめ返してきた。


 


アホで愛しい。

かわええやっちゃで。










2012.01.25