近くて遠い



彼氏いない暦=年齢


そんな私には幼馴染が一人いる。

テニス部3年の白石蔵ノ介。

2年の時から部長を務めるエクスタ男である。


「なんや、今日も冴えん顔しとんなぁ。」

「誰のせいよ。」

「知らん。」

「あ、そ。」


女子に大人気なこのエクスタ男がこんな風にニヤニヤすることを私はお教えしたい。



私が何故そんなうかない顔をしているかと言うとだ。

数時間前、学校についた時靴箱に手紙が入っていた。

中身を見てみると男子からのラブレターと言うやつで、生まれてココまでそんなものを貰ったのは初めてでうかれていた。

背後に迫った魔の手に気づかなかったのだ。


「なんや、うかれてるやん。」


といってすばやく私のての中にあるものを奪い、読み始める。

眉間にしわを寄せてヤツはこう言い放った。


この内容、まだ見てへんよな?」

「告白文よね?好きです。までのとこしか見てないけど。」

「ほな下の部分は見てないな。これ俺がもらっとくから。ほなな。」

「はぁ?!」


と、こうである。

アレから何度も返してといったが返してもらえなかった。


私の彼氏いない暦はこうしてやつの手によって更新されていくのだった。

といっても、一回転校してきた田中くんの告白を断ったのは私なんだけれど。

ていうか好きなのは蔵だから更新されていくんですけどね!


「そういえば、転校生とえらい仲良しやんな。」

「田中くんのこと?」

「せや。」

「別にそんな事はないと思うけど、そうだったとして蔵には関係ないことじゃない。」


そう言った時の蔵の顔が一瞬ひどく悲しそうに見えた。


「・・・せやな。」

「え、蔵?」

「なんでもないで、ほなまた後でな。」


弱く笑って蔵は忍足くんのほうへ行ってしまった。

私が誰と仲良くしようと蔵は振り向いてくれないくせに。

どうせ、私が好きでも向こうはそうじゃない。

幼馴染がとられるとでも思っているんだろうか。

あんな顔めったにしないもの。


期待なんてしない。


蔵のことは私が一番見てきた。

私に気がないことは分かってる。

それに・・・。



「白石くん。」



そう蔵には彼女ができた。

背が低くて肌は白く、すごく可愛らしい。

ならんでいてすごく絵になる。


蔵の姿を見つけると嬉しそうに近寄っていく。

蔵も笑顔で迎える。


そんな光景を見ていると声がかかる。


さん。」

「あ、田中くん。」


今日もわざわざ違う組なのに様子を見に来てくれたのか。

彼は私の好きな人を知っている数少ない人の中の一人だ。

転校してきてすぐに一目ぼれしたと告白された。

もちろん私は蔵が好きだと断ったのだが、彼女が出来たと知ってからわざわざ違う組から来てくれるようになった。

蔵の彼女も同じクラスだから動きがわかるのだろう。


「私、蔵ノ介の事諦めないと思うよ?」

「いいんだ、僕が君と一緒に居たいだけなんだから。」

「そう・・・ありがと。」


そういって彼のほうを見ると苦笑して蔵の方を見ていた。


「羨ましいな、彼が。白石くんが・・・ね。」

「・・・。」

「僕ならそんな悲しい顔させないのに。」


それから少し話をして時間になる。


「そろそろ行くね、時間だし。」

「うん、またね。」


にっこりと笑うと彼は自分の組へ帰っていった。

彼女も帰るようだが一瞬目が合って睨まれた様な気がした。

気の・・・せいじゃないよね・・・。

警戒されてるのかしら。

幼馴染だから。

でも眼中にないより警戒されていたほうがいい。

眼中にないなんてことになったらそれこそライバルとさえ思ってないってことになるから。

なんて考えていると不意に声が聞こえをかけられた。


。」

「ん、あれ。どうしたの忍足くん。」

「あーえっと、変なこと聞いてもええか?」

「うん?私のスリーサイズ?えーっとねー。」

「アホか!ちゃうわ!!」


忍足くんは顔を赤くして否定していた。

なんだこの可愛い生き物は。


「そんなことやのうて、田中のことや。自分ら付きおうてるん?」


お前もそんなこと言い出すんかーい。

蔵といい、忍足くんといいなんなんだい君達は。


「はい?私は蔵が好きだって知ってるよね?」

「せやねんけど、最近田中とよう話てるのみるしあいつもわざわざこっち来るやろ?」

「うーん、少し話がしたいから部活終わったら教室来てくれないかな。」

「お、おん。わかった。」










2012.01.23