君を見た日から。



私は昔から部活一筋で生きてきた。

好きな人なんていないし、好きになんてならない、そう思っていた。

君を知るまでは。


高校3年の春、春の大会で負けた私たちは部を後輩に託した。

元テニス部の副キャプだった私。

キャプテンには一番うまい、しっかりした私の相方が選ばれた。

別にそんなに強くもない高校だけれど、コーチがいたころは県大会にも出ていたらしい。

出ていたのは4年ほど前だったかな。

いかにも部活をやっていない感じの顧問の考えがコーチを怒らせてしまったらしい。


そんなテニス部を支援するため高校卒業まで相方といろいろ指導している。

今日は部活を早く切り上げた帰り。

今から弟の通う立海大付属中学に行かねばならない。

弟はテニス部で2年生。

今日、切原っていう子とやってひざを怪我したらしい。

なんでもナックルサーブっていうサーブでひざに何発も当てられたらしいのだ。

テニスってそういうゲームだっけ?

相手をKOしたら勝ち、みたいな。

まぁ確かに体に当たったらポイント取れるからね。

潰すまでやらなくても・・・って思うけど。


とりあえず弟の荷物を貰いにテニスコートへ向かう。

弟は保健室の先生と病院行きらしい。

授業を終えてメールを確認すると、自分は先生に送ってもらうから帰りに荷物とってきてとパシリ扱いな内容だった。


「で、ついたけどテニスコートどこよ。」


とりあえずそこら辺の子捕まえて聞くのが一番はやいかしら。

そう考えていると背後から声がかかった。


「他校の生徒のようですが、どうかされましたか?」

「あ、ちょうどよかった。私テニスコート探しているの。案内してもらえないかしら。」


テニスコートを探していると言うと、メガネをかけた彼は眉間にしわを寄せた。

が、すぐ何かを思い出したのか再び口を開く。


「もしや、君のお姉さんでいらっしゃいますか?」

「え、あ、そうですけど。」

「それは大変失礼いたしました。私、テニス部3年の柳生比呂士といいます。」

「あ、これはご丁寧に。です。いつも弟がお世話になってます。」

「立ち話もなんですので、テニスコートへ案内しますね。」

「あ、はい、よろしくお願いします。」


なにこの紳士な子。

まさかこんな子が中学にいるとは・・・。

恐るべし立海大付属・・・。


柳生くんについて行くとすごく広いコートが見えてきた。

何この広さうち3面しかないからすごく羨ましいんだけど。

何この格差。


「着きましたよ、ここが我が立海大付属中学校のテニスコートです。」

「ぅわぁ・・・学校も大きいと思ったけど広いテニスコート羨ましい・・・。」

「そうですね、とてもありがたいことだと思っています。今は部長が不在なので今日のところは副部長を連れてきますね。」


柳生くんは私の言葉に控えめに笑うと真田くんという子を呼びに行った。


「部員も多いのねー・・・流石有名校だけあるわ・・・。」


テニスコートを眺めていると数分もしないうちに声が聞こえた。


「すみません、さんお待たせいたしました。」


振り返ると顧問?と思えるような人と柳生くんが立っていた。

連れて来るといっていたからこの人が真田くんなんだと思い込み、つっこみたい気持ちを抑えた。



* * *


あの後、真田くんから謝罪の言葉をもらい荷物を持って帰ってきた。

私に謝られても困るんだけどね。

まぁ、親いないししょうがないかな。



家に帰ると弟がのん気に友達と遊んでいた。


「おい、赤也!少しは手加減しろって!」

「残念!俺の勝ちー!」


切原くんとやらにやられた後ではなかったのかと・・・。


「そんなに元気なら荷物自分でとってきなさいよねー。」


私が帰ってきていることを2人とも気付かなかったのか勢いよく私を見た。


「姉貴お帰り。荷物サンキュー。」

「どうも、お邪魔してまっす。」

「お茶入れるからちょっと待っててねー。」

「あ、あの!」


台所へ行こうとすると赤也と呼ばれていた子に呼び止められる。

振り向くと言い辛そうに下を向いていた。


「そ、その、今日試合して怪我させちゃってすんませんでした・・・。」


すごく仲よさそうだったからまさかこの子が切原くんだと思わなかった。

すごく、普通の子・・・よね。

もっとなんか不良っぽい子だと思ってたのに。


「あぁ、君が切原くんか。いつも弟がお世話になってます。」

「え、あの。」


怒られると思っていたのか彼はキョトンとした顔でこっちを見る。

そしてしだいにオロオロし始めた。


「別にアイツが君の事許しているなら私がとやかく言うことじゃないでしょう?」


笑いながらいうと彼は安心したのか笑顔で弟の元へ戻っていった。

そう、アイツがなんとも思っていないのに私がうるさく言ったところでやな人でしかない。


「はい、お茶。」

「どもっス。」


切原くんにお茶を出すと笑顔で受け取ってくれた。

この子かわいいな。


「一応、明日病院もう一回行くからちゃんと覚えておいてよ?」

「あ、じゃぁ部長に会っていこうぜ。多分真田先輩から聞いてるだろうし。」

「あぁ、部長さん病気なんだって・・・?お見舞いもかねて行こうか。」


真田くんから部長、もとい幸村君が入院していることは聞いた。

多く語らなかったところを見るときっと難病なんだろう。


「じゃぁ、俺はこれで帰るッス。今日はありがとうございました。」

「またおいでねー。」

「はいっ。」


なんか天使みたいな子だなー。

怪我させたのが信じられないくらいに。


「じゃぁなー!」

「おぅ。」

「なんか可愛い子ね。」

「あー、テニスで本気にならなけりゃほんといいやつなんだけどなぁ。」


そういいながら弟は部屋に戻っていった。







立海大付属中テニス部と






2012.03.04




(・3・)アルェー
なんか幸村氏でてないんだけど!!

幸村氏夢はじまりました。
物語の構成皆無です・・・(゚д゚)
書きながら決めていく感じで^w^;