Stop and go.



私の一生片思いの恋。

あきらめる事もできなくて

離れるくらいならずっと友達で居たいだなんて保守的な考え。

一番近くに行きたいという思いを閉じ込めたのはいつだったか。



「なぁ。」

「何ですか?白石さん。」

「また謙也観察しとるん?」

「うん。」



はぁ、と重いため息が聞こえたけれど知らないふり。

白石とは2年の時に席が隣になったのがきっかけ。

女子テニの部長を任された時に男子テニス部も2年生が部長になったと

そう聞いた時に隣の席の人物がまさにその人だったことで

実は家が近いことや相談してるうちに仲良くなった。


「お、きたで。」

「何や、今日も仲ええな。お二人さん。」

「おはよう、忍足くん。」

「謙也は相変わらずぼっちやな。」

「やかましわ。」


私たちは基本的に朝練がなくても早く来るから教室には人があまりいない。

いつもなら教室にいるはずの忍足くんがいなかったから不思議に思ったけれど

教室を出てどこかへ行っていたらしい。


「で、何の用や?お前の席あっちやろ?」

「何や白石、冷たいやないか。友達に挨拶は基本やろ?」

「友達?誰と誰がや?」

「おまっ・・・今日はまた一段と・・・・・・。」


さっきの友達発言によって白石は黒い笑みを浮かべている。

私の気持ちを知っているからだね。

うん、友達思いだ。

まぁ、知り合ってからずっとそういう対象だと思われていないことは重々承知しているし

一年経てばなれるってもんよ。

なんてったって転校してきた時からの片思いだからね。


「大丈夫、私は忍足くんのこと好きよ。」

!俺の親友はお前だけや!!こいつとは違うわ!」


前言撤回。

軽く流されて親友発言はかなりキツイです。

前は好きだって言ったら顔真っ赤にして反応してくれたのに。

今は全く顔色を変えることなく普通に返ってくるからなぁ・・・。

まぁ、友達としての「好き」だと思われているんだろう。


今日もダメだったと苦笑して白石を見つめれば

白石も苦笑して忍足くんに部活のランニング2倍を言い渡す。

忍足くんはなんでやねん!!と叫んでいた。

これが私たちの距離。

いつかこの距離がもっと縮む日がくるんだろうか。






距離感








2012.01.24