Stop and go.



女子部員も私も忍足くんも何も話さない。

すると携帯電話が震えた。

画面には白石の文字。

放っておくわけにもいかず電話にでる。


「もしもし?」

!謙也も戻ってこぉへんし俺もそっち行くわ。さっきの話も気になるしな。』

「え、えっと。」

「白石か?」

「あ、うん。」

「ちょぉ代わってや。」


怒っているのかいつもと雰囲気が違う。

いつもにこやかにしている忍足くんと同一人物なのかと疑うくらいに。

忍足くんは私の携帯を持つと白石に今の事情を話し出した。

話していた内容を聞くかぎり最初のほうから聞いていたようだった。

もう言い逃れは出来ない。

どうしようもなくなってしまった。

忍足くんにも白石にも知られてしまって、女子テニス部にも居られなくなるだろう。

辺りはだんだん暗くなってきた。

夏とはいえもう6時半すぎ、部活の音はなく蝉の声だけが響いている。


、悪いけど白石ついたら全部話してもらうで?」

「・・・。」


その気まずい雰囲気の中を声が通る。

同級生も後輩もその一言で泣き出す子が出てきた。


「・・・心配してもらって悪いんだけど、これは私と彼女らの問題だから何も話すことはないわ。」


忍足くんは眉をひそめ私を見る。

別に彼女らを庇うつもりはない。

ただ、私は私の居場所を壊さないでほしいだけ。

辛くたって全国大会にさえ出れば彼女に会える。

たった一人の今は遠くにいってしまった私のペア。

いつも一緒に居てくれたかけがえのない私の友達。

彼女と共に過ごしたこの部を辞めることはしたくないし、何より彼女らや元居た先輩達に負けたくない。


「ごめん、私先に帰るね。」

「お、おい!」

「今日はありがとう。」

「謙也!お、おい、どこいくねん!!」


白石が着いたらしく、後ろから声がする。

お願いだから追ってこないで。

こんな泣いてみっともない顔、見られたくないの。

校門を出て家まで全力で走りかえる。


サイテイ


心配してくれた忍足くんや白石にあんなことして。

明日、学校どうしようかな。

・・・行かなきゃダメよね。


ベッドの上でボーっとしていると、携帯にメールが届く。



−−−−−−−−−−−−−−−


名前:忍足謙也
件名:今日はスマン。
07/18 19:14

今日はホンマごめんな。
の気持ち考えんと余計なこと
言ってしもて。
あの後彼女らにはなにも言うてへ
んから安心してな。

体調はもう大丈夫なん?
なんやおかしなったら遠慮なくい
うてや!

ほな、また明日な。


−−−−−−−−−−−−−−−



・・・メールを読んで目の前がゆがむ。

今日、泣いてばっかりだなぁ。

忍足くんの優しさも、自分の不甲斐なさも私の涙腺を刺激する。

この件については何も話せないけど、白石にも忍足くんにもゴメンとありがとうを言おう。

目を冷やしてから寝ようかな。

明日絶対ひどい顔になる・・・。

そう思いながらベッドから降りると冷蔵庫に向かう。

お茶を一口飲むと体中がひんやりして少し落ち着けた。

今日のこともあるしもう寝よう・・・。

寝室に戻ると部活の人たちからメールが着ていた。

内容は今日のことについての暴言。

最後のメールは・・・。

"早くテニス部やめろ"

そんなメールだった。








テニス部での居場所










2012.02.20