Stop and go.
忍足くんと白木さんが付き合い始めてからそろそろ2週間になる。
2週間まったく忍足くんとは話をしていない。
忍足くんは白木さんと付き合っているのに、私はまだ忍足くんを諦められないでいた。
部活が終わってフラフラとまた男テニの方へ歩いていく。
もう、病気だな・・・コレ。
テニスコートの門の前で小春ちゃん、一氏くんと・・・忍足くんが言い合いしているのが見えた。
・・・背を向けているけど私が忍足くんを見間違えるはずない。
小春ちゃんと一氏くんは忍足くんに対してかなり怒っているみたい・・・。
忍足くんの表情は見えない。
「別にええねん!アイツのためになるんやったら!」
忍足くんはそう大声で叫ぶと私の方向へ走ってくる。
私の存在に気づいたのか吃驚して一瞬足を止めたけど、目を伏せるとそのまま走り去っていってしまった。
話の内容が気になって小春ちゃんと一氏くんに聞いたけれど二人は苦笑するだけで話してはくれなかった。
なんかモヤモヤする・・・。
アイツって誰・・・?
・・・まだ時間あるし今日は自主練でもしようかな。
それから1時間ずっとがむしゃらに自主練習をしていた。
練習していると何も考えなくてすむ。
雨が降ってきたけど気にせずひたすらボールを打ち続ける。
段々体が重くなってきて頭もぼーっとしてきた・・・。
なに、やってるんだろう。
ベンチに腰掛けるとこのまま消えていけるんじゃないかと思えるくらい雨が激しくなっているのに気が付いた。
上を見ると顔に直接大粒の雨が当たる。
全部流してくれればいいのに。
胸の痛みも、モヤモヤする気持ちも・・・私の存在すら。
溶けて消えてしまいたい・・・。
ベンチに横になると耳鳴りがした。
「!?なにやってんねん!!」
遠くに久しぶりに私の名を呼ぶ忍足くんの声が聞こえた。
私はその姿を確認することなく暗闇に落ちていった。
* * *
気が付くと何処か知らないベッドの上にいた。
ここどこだろう?なんか人に迷惑かけてばっかり・・・。
重いため息と共に起き上がり周りを見る誰かの部屋だろうか。
目がかすんでてあまり見えないや。
体は重いし気持ち悪い・・・。
頭はクラクラするしボーっとする、完全に熱があるなぁ。
何も考えたくない・・・もう、どうにでもなれ・・・。
ベッドにもう一度体を預けるとそのまま意識を飛ばしていった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
なにかひんやりしたものが頭のあたりに当たって気持ちがいい。
目を開けると背を向けた男の人がいた。
「・・・しら、いし?」
声をかけるとその人は勢いよく振り向いた。
私のよく知っている人。
白石 蔵ノ介 その人だった。
「目、覚めたんやな・・・。あんま心配させんといてや・・・。」
「ここは・・・?」
「あー俺の部屋や。自分一人暮らしやん?勝手に入るんもアレやし心配や思てな。」
「しらいしのへや・・・なんかごめんね。」
「いろいろ話したいことはあるけどまだ寝とき。」
「・・・たお、れるときに・・・おしたりくんの、こえがしたの。」
「・・・。」
「なんかもう、びょーき・・・だよね。」
考えたいことはいっぱいあるのに頭が上手く働いてくれない。
今は素直に甘えさせてもらおう。
「ごめん、もうちょっとだけねさせて・・・。」
「ええで、ゆっくり寝とき。おやすみ。」
* * *
リビングに戻ると携帯をとり電話をかける。
数回のコールの後、聞きなれた声が聞こえる。
「もしもし?謙也か?」
『もしもし、白石・・・の様子はどうや・・・?』
「・・・いまさっき目覚めたけどまたすぐ寝たわ。」
『さよか・・・とりあえず一安心やな・・・。』
なんでそんな安心したような声やねん。
より白木とったんちゃうんか。
ほんまイライラするわ。
「・・・あんな、話があんねん。今から会われへん?」
このイライラ、これ以上は我慢できひん。
の事我慢せぇへんって思ってたけど・・・。
謙也にほんまの話聞かなやっぱあかんわ。
なんや気色悪いわ。
『話?・・・ええで。そっち行くわ。離れられへんやろ?』
「せやな・・・待ってるわ。」
『・・・おん。』
ほな、聞かせてもらいましょか。
お前がどう思ってるんか。
どうしたいのか。
隠したり誤魔化したりしたらしばくで。
気持ち
2012/03/03