Stop and go.



お昼。

いつものように3人でお弁当を食べる。

そういえばこの前の大会の話をしていなかったなぁ。


「そういえば、地区た・・・。」

「謙也!!!また私の辞書に落書きしたやろ!!」


ガラガラ・・・バンッ!!

勢いよく引き戸を開ける音がしたのと同時くらいに

私の声をさえぎってよく通る女の子の声が聞こえる。

この声は隣のクラスの設楽由香ちゃんだ。

忍足くんの幼馴染でありマネージャーよく話しているのを見かける。


「げっ・・・由香。」


忍足くんは思い当たることがあるようで眉間にしわを寄せていた。

白石は呆れた顔で、またか、と呟いた後、私の顔を見る。

私はまた苦笑をし、お弁当を持って席を立ち、静かに教室を去る。

この本当に仲のいい二人のやり取りを見るのは辛い。

白石はホント何でもわかってるんだなぁとしみじみ思う。

はぁ、自分の意気地なし。


こんなんじゃ距離は縮まらない。

わかっているけど変えられない。


屋上に着くと財前くんが寝ていた。

今は話しかける気もあまり起こらないしお弁当食べたらさっさと立ち去ろう。


んでぶらぶらして授業始まりそうになったら帰ろう。

うん、そうしよう。

 


* * *




部活が終わったあと、居づらい部室をさっさと出て帰ろうとする。

・・・が。

男子テニスコートからすさまじい音が聞こえる。


「な、なに?何事?」


「超(スーパー)ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐ィイイイイ!!」


き、金太郎くん?!

いったい誰が今日の犠牲者なの・・・?


「小春ぅううううううううう!」


声と同時にフェンスを越えた小春ちゃんが見えた。

こ、小春ちゃん・・・!

た、大変!


「小春ちゃん!!」


小春ちゃんに駆け寄ろうとするとフェンスを乗り越えた一氏くんが駆け寄った。


「大丈夫か小春ぅうううう!!」

「綺麗な・・・お花畑と川が・・・。」

「それ渡ったらあかんでえええええ!!帰ってこおおおおおい!!」


二人のやり取りをぽかーんと見ていると後ろから門が開く音がした。


「あれ、さんやないですか。女子は終わったんです?」


振り向くと財前くんがいた。


「あ、うん今日はもう終わったよ。」

「そうですか。先輩ら元気になったんやったらはよ戻ってきてください。またくっついてきもいっすわ。」

「あはは・・・。」

「多分、もうちょっとで男子終わるんで部長におくってもろたらどうですか。」

「そうなんだ?話したいこともあるしちょっと待ってようかなー。」


ふむ、嘘は言ってないし忍足くんでも見て白石待ってるか。


「小春、ユウジ部活終わるでー。ええかげん戻って・・・。お、やんか。部活終わったん?」

「やぁ白石。うん、女子は終わり。」

「お、ホンマか。俺らももう終わるさかい、ちょぉ待っててや。一緒に帰ろうや。」

「うん、私も話すことあるし。待ってるよ。」

「ええ返事や。ほなら後でな。」


そう言ってコートに戻っていった。

なんだもう終わりなのか。

忍足くん見れないのはちょっと残念だけどしょうがないね。




* * *




「すまん、おそなってしもた。」

「ん、そんな待ってないよ?」


白石の声が聞こえたから携帯から目を離すと白石と忍足くん、設楽さんがいた。


「途中まで一緒やしってこいつらもついてきよったわ。」

「なんやねんその言い方ー。ええやんかー。」

「ホンマのことやんか。せっかくと二人で帰ろう思ってたのに。」

「すまんな、。」

「あ、ううん。一緒に帰ろう?部活お疲れ様。」


設楽さんと白石が言い合っていると、忍足くんが苦笑して謝っていた。

忍足くんと帰るのは嬉しい事だけども。

ちょっと憂鬱でもあるかな。

にっこりと忍足くんに笑いかけると忍足くんはほっとしたような表情をした。


さぁ、4人で帰りましょうか。






君とあの子と私と友人






2011.01.24