Stop and go.
お願いしてから数日たった。
恒例のランチタイムに白石は紙と弁当を持ってこっちへやってきた。
忍足くんは放送委員へいったらしい。
「白石、その紙なに?」
「あぁ、この間いっとった合同練習の紙や。」
ほれ、と言いながら私に紙を見せてくれる。
どれどれ・・・?
「え?これ3週連続で火曜に時間とってくれたの?」
「オサムちゃんが流石に女子もかわいそうや言うてな。よかったな。」
「わぁ、ありがとう!すごくうれしい。」
「とりあえず、弁当食べながら話しよか。」
「うん。」
うーん、これはすごくうれしい。
3回も忍足くんと一緒に部活・・・じゃなかった。
男子テニス部と合同練習できるなんて!
「白石ー!ちょっとええかー?」
教室に女の子の声が聞こえる。
「設楽か。」
ため息をついてちょぉ待っててなというと、白石は設楽さんの方へ向かう。
彼女はテニス部のマネージャーをやっているから白石のいるこの教室へくることがある。
忍足くんがらみでもよく来るのだけど。
今日は部活のことで来たようだ。
今回は結構話し込んでいるようで30分経っても戻ってくる様子はなかった。
設楽さんの表情が真剣で、白石の表情が険しい辺り、なにかあったんだろう。
途中で帰ってきたらしい忍足くんも混じって話をしていた。
忍足くんは真っ赤になったり青くなったりしている。
最終的には設楽さんと白石が深いため息をついて忍足くんを見た。
話は終わったらしい。
「、すまんなおそなってしもて。」
「ううん、なんかあったの?」
「いや、なんでもあらへんよ。」
忍足くんは自分の席で机に突っ伏していた。
「忍足くん、なんかあった?」
「なんも。」
「そう?」
そうは、見えないんだけど・・・。
「で、さっきの続き何やけど・・・。」
「?」
白石はそういって忍足くんのほうを見た。
私も忍足くんのほうを見ると目が合った・・・けど反らされた。
そしてまた机に突っ伏してしまった。
え、なに。すごくショックなんですけど。
「なんかあの反応ショック・・・。」
「あのアホは・・・。」
目に見えてテンションが下がった私を見て白石はとりあえずさっきの続きをしようと言った。
あとでアイツしめたらなあかんなと聞こえたのは気のせいだと思っておこう。
「一応、3年は練習試合、1、2年は合同練習という形でいこうと思てるんや。
あ、うちの財前は一応レギュラーやから3年と一緒にさせてもろたけど。」
「財前くん、来るの?メンドイっていって来ないんじゃないかな。この前言ってたし。」
そういうと白石は不思議そうな顔をして私をみた。
「この前も思っててんけど、は財前と知り合いなん?」
「うん、私図書委員で一緒だからこの前合同練習のこと聞いたの。」
「そうなんや、財前と仲ええんはしらへんかったな。」
「学年違うもんね。」
そう言ったところでチャイムが鳴り解散となった。
なんか忍足くん変だったけど大丈夫かな。
私なんかしたっけ・・・。
* * *
ついに合同練習の日がやってきた。
「今日は練習を組んでくださってありがとうございます。よろしくお願いします。」
「きみがちゃんね。俺が男子硬式テニスの面倒見てる渡邊オサムや。
大まかな指示は白石に任せてあるからよろしゅうな。」
「はい。」
この人がオサムちゃんこと渡邊オサム先生か。
若そう。20代後半から30ってとこかなぁ。
「オサムちゃん、もそろそろ始めるけどええか?」
「あ、うん。」
話も終わったところで白石が小走りで寄ってくる。
部員は集まったようで男子も女子も整列して待っていた。
流石白石。
「ほな、今日は女子と男子の合同練習や。きばりやー!
男子は女子に見とれてサボるんやないでー!!」
白石はそういうと一歩下がって場所を開けた。
あいさつしなきゃだよね。
「今日は合同練習を組んでくださってありがとうございます。
女子一同頑張りますのでよろしくおねがいします!」
「よっしゃ、ほなオーダー発表すんでー。呼ばれたら返事して紙取りにきぃや!
男子は一試合でも負けたら罰ゲーム待ってるからな!」
「女子はこっちに集合!この紙は自分の戦績を書く紙だから無くさないように。
じゃぁ、発表するわね。」
合同練習開始
2012.01.30