Stop and go.
私は3番コートか。
ん、1番手はだーれだ。
あら、小石川くんだ。あまり話したことないのよね。
「お、最初はか!よろしゅうな。」
「小石川くんが最初なんだね。よろしく。」
「smooth or rough?」
「smoothや。」
ラケットを見せながら正解smoothね。と言うとほなサーブ権貰っていくなと爽やかに笑った。
副部長を務めるだけあってうまいんだよねきっと。
気を引き締めなきゃ。
「謙也さん、隣。」
「ん?どないしたん財ぜ・・・。」
「小石川先輩とさんですわ。」
「なんやて・・・?一番最初は白石やと思ってだまっとたんに・・・。」
「ま、しゃーないっすわ。」
ん?忍足くんと財前くんなんかこっち見てる・・・?
(がんばってね)
口ぱくで応援して手を振り、小石川くんと向き合う。
簡単に負けるわけにはいかない。
「4ゲームマッチ。プレイ!」
開始の声がかかると同時に小石川くんはいいコースにサーブを打つ。
返せない球じゃない。
難なく打ち返して見せると少し驚きながら打ち返してきた。
「1−0!チェンジコート!」
とりあえず1ゲーム奪取。
「、案外強いんやなぁ。こっからは本気でいかせてもらうで。」
「上等じゃない!」
そこから試合が長引くことになった。
「3−3!」
強いけど、絶対負けない!
ココでクロスに打って前へ・・・!
* * *
「ゲームセット、ウォンバイ。4−3!」
「「ありがとうございました!」」
「、ほんまに強いな!まさか負けるとは思わへんかったわ。
こりゃ白石に何されるかわからんな・・・。」
「実はもう体力限界で・・・。」
「それやと余計悔しいなー。まぁ、負けは負けや、次ぎも頑張りや!」
「小石川くんもね!」
ふぅ・・・次の試合までまだ時間あるな。
ちょっと顔洗ってこようかな。暑すぎるしフラフラする。
テニスコートを出て水道に行くと先客がいた。
「あれ、さんやないですか。」
「財前くんだ。財前くんちゃんと来てくれたんだね。」
顔を洗い終わってタオルで拭きながらこちらを向いた。
耳の五輪カラーのピアスがきらきら光っている。
「先輩と試合したかったんすわ。試合勝ちはったんですか?」
「え、財前くんには勝てないよ。試合は勝った。ギリギリだけどね。」
「へぇ?おめでとうございます。次は謙也さんとらしいですよ。よかったっすね。」
「え?」
そういうと財前くんはニヤニヤしながら去っていった。
え?何。何で?
そんなに私わかりやすい・・・?
しばらく財前君が去っていった方向を見ていた。
私がいないことに気づいた白石が探しにくるまで水道の前に突っ立っていたらしい。
初試合と後輩と
2012.01.31