Stop and go.
「何であんなとこに突っ立っててん。」
「・・・いや、財前君が・・・。」
「財前?」
「次は忍足くんとの試合よかったね。って。」
あぁ、そのことかって言って白石はニヤニヤしだした。
「お前、わかりやすいからなぁ。」
「え、そんなに!?」
「まぁ、安心しぃ。あのヘタレにはばれてへん。」
「そ、そうじゃなくて!」
「テニス部のレギュラーにはばれてるんちゃう?」
「!?」
な、なんてこと。
て言うかそんなにわかりやすいのかな。
「謙也と話してるときは女の子みたいやからな。」
「女の子見たいって何よ。みたいは余計よ!」
「白石、見つかったんか・・・って。」
「お、謙也。今から行こう思っててん。」
「忍足くん・・・。」
白石が変なこと言うから忍足くんを直視できない・・・。
すごく顔が熱い。
とりあえずチラッと顔を見てみると・・・すごく不機嫌そう。
白石のほうを見るとさっきよりニヤニヤしてる気がした。
何なの!
「。いくで。もうそろそろ時間や。」
「え、あ、うん。」
少しイライラしながら忍足くんはコートに戻っていってしまった。
白石に助けを求めようと顔を見るとへぇ。とか言いながら忍足くんのほうを見ていた。
「えっと、戻ろう?」
「ん、せやな。」
コートに戻ると忍足くんはすでに待機していて財前くんと話していた。
ごめんね、遅くなって。そういいながら近づくと二人はこっちを見て
財前くんは忍足くんに何かをいい去っていった。
それを聞いた忍足くんはあたりまえや!と叫んだ。
「ほな、はじめよか。」
「うん。」
さっきのような刺々しい雰囲気はもうなくていつもの忍足くんだった。
よかった・・・。
一方、四天宝寺レギュラーサイドは・・・。
「銀さん次試合やでー。」
「小春お疲れー。」
「蔵リンありがとぉ!って何やのあの空気。花舞ってるで。」
「さんが謙也さんの事好きなんは見たらわかりますけど、謙也さんはどうやと思います?」
「んー、俺のさっき見た感じでは脈ありやと思うねんけどなぁ。なんせヘタレやからな。」
小春は二人の空気に驚き、財前は戻ってくるなり俺に声をかけてくる。
その問いに顎に手を当て謙也の方を見て答える。
「謙也くんがもう少しはっきりしてくれはったら私らも動きやすいんやけどねぇ。」
財前、俺、小春はため息をつきながらコートにいる2人を見る。
「そういえば!ちゃんこの前、高井くんに告白されたらしいわよん。」
「え、そんなん俺聞いてへんで。」
アイツが告白されてた?
1年の時からモテるんは知っとった。
転校してきた美人な子がおるて男子の間では話題になったもんや。
2年のときは告白してきたヤツをことごとくフリ続ける難攻不落の要塞みたいなヤツ。
あいつと仲良くなったんは2年の時に席が隣になった時やった。
話してみると案外話しやすい印象をうけた。
好きになるんも時間はそんなにかからへんかったな。
せやけど・・・気づいてもうたんや。
見てる先に、謙也がおるっちゅー事に。
「ちょっと蔵リン!そんな怖い顔したらあかんで!蔵リンに言えへんかったんはやっぱり乙女の会話やからし!」
「先輩きもいっすわ」
「光!うるさいで!」
納得いかへん。
コートを見ると謙也とがラリーを続けとった。
アイツを誰より理解しとるんは自分やと思ってた。
好きになったらあかんのやと言い聞かせた日から。
隣におられへんのであれば、せめて、そうでありたいと。
「・・・お互いアホですね。」
「・・・ほんまやな。」
財前もやったんか。
俺もほんまお人よしやんな。
感謝しぃや、お2人さん。
謙也もも、もうそろそろハッキリしてもらわなこっちがもたへんわ。
謙也やなかったら奪ってるとこや。
恋心
2012.02.03