stop and go.
目を開けると鈍く頭が痛んだ。
「ん・・・ここ・・・は・・・?」
確か部活やってて試合して・・・。
部活!!!
部活中に倒れたことを思い出しベッドから勢いよく起き上がると
ちょうど部屋に入ってきた忍足くんと目があう。
「目、覚めたんか!きもちわるいとか変なとことかあるか?」
「え、あ、ちょっと頭痛い・・・かも。」
「頭痛だけか。顔色もええし、頭痛以外は大丈夫そうやな。一応まだ安静にしとってな。」
「う、うん。えと・・・。」
部活はどうなったのかとか。
ココどこだろうとか。
運んでくれたの誰だろうとか。
そんなことを考えていると忍足くん不思議そうな顔をしてこっちを見た。
何から聞こうか考えながら彼の顔をボーっと見ていると少し顔を赤くしながら口を開いた。
「・・・そんな見つめられると照れんねんけど・・・。」
「えっ、あ、ごめん?」
「・・・いや、ええけど。どないかしたんか?」
「その・・・部活・・・どうなったのかなって。」
「俺が何とかしといたで。」
その問いに答えたのは忍足くんではなく白石だった。
「急に倒れるから心配したわ。なぁ謙也。」
「せや、な。」
2人は苦笑しながら保健室の椅子に座った。
「具合はどないや。」
「起きた時は頭が痛んだけど今は全然、スッキリしてる。」
「謙也に感謝しぃや?運んで看病したんコイツやからな。」
白石は忍足くんを見てあごで指した。
え、今爆弾発言しなかった?
「お、忍足くん・・・ごめん、重かったでしょ・・・っ。」
恥ずかしすぎる・・・!
好きな人に運んでもらったとか!!
出来れば意識のあったときにして欲しかった・・・じゃなくて!
絶対重いとか思われた・・・。
うわ、穴があったら入りたい・・・!!!
「何百面相してんねん。」
「う、うるさい白石!」
「別に重なかったで。軽い方ちゃう?」
「ほ、ほんとに・・・?よかった・・・。」
なんかよくないけどよかった!
「あ、そうだ。今何時・・・?」
「5時半すぎやな。なんや用事でもあるん?」
「ううん。女子部に挨拶できたらと思ったんだけど。」
「あー、もう帰ってしもたんちゃうかな・・・。」
5時半ならまだいるはず・・・。
はぁ・・・どうしよう、これ以上嫌な雰囲気になるの嫌なのに。
せっかく男子との試合組んでご機嫌取りじゃないけど少し雰囲気和らいでいい感じだったのにな。
気が重い。
「ほな、大丈夫そうやし俺らも帰ろか。」
忍足くんは立ち上がると氷枕やタオルを片付けはじめた。
白石も椅子を直して忍足くんを手伝う。
「あ、一応部室のぞいて行くからさき帰ってていいよ。」
そういうと2人は眉間にしわを寄せ、ため息をついた。
2人してそんな露骨に呆れたような顔しなくても・・・。
「アホ、また倒れられたらシャレにならんわ!校門で待っとくさかいはよきぃや。」
あ、そうですね。ごめんなさい。
頷くのを見ると忍足くんと白石は荷物を持って保健室から出て行った。
私も行こう、この時間ならまだいるだろう。
* * *
部室を開けると即行で睨まれた。
視線で殺されそう。
「あれ、さんもう動けるん?」
「あ、うん。ごめんね。せっかくの男子との合同試合で倒れちゃって。」
「・・・別に。」
「使えへん部長が折角ええ仕事したと思ったらコレやもんなぁ。ほんま使えへんわ。」
「ほんまや。」
「別にアンタなんてどうでもええんでさっさと帰ったらどうです?」
同級生はもちろん下級生にすらこんな態度をとられる。
よくこんな場所で一人でやってこられたなぁと他人事のように思う。
「はよ帰ってください。また倒れられたらこっちが迷惑するんで。」
「アンタなんかの面倒みなあかん白石くんや忍足くんも可哀想やんか。」
「そうね、それじゃぁ・・・。」
部室を出てドアを閉める。
閉める途中でほんまは仮病やったんちゃいます?と聞こえてきた。
こう言われる事がわかってて、それでもココをやめることは出来ない。
ツライ・・・な。
ぽたぽたと雫が落ちる。
雨ではなく・・・自分の涙。
ぽたぽた、ぽたぽた。
白石も忍足くんも待ってるのにこんなんじゃ行けない。
もう少し、もう少しだけ。
私に時間をください。
小さな幸せと大きな代償
2011.02.09
これ書き終わって読み直したら名前変換一切なくて焦って書き足したなんていえない・・・!